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おびお堂書店 岩波科学ライブラリ
エピジェネティクス入門
 三毛猫の三毛模様,アサガオの絞り模様….遺伝子は同じでも,生物にはさまざまな外見や個性がある.これは遺伝子の働きを調整するエピジェネティクスによって偶然に決まっている.遺伝子を陰でダイナミックに操るしくみと,それによって生まれるさまざまな現象を解説し,病気との関係や新しい治療法開発の可能性を紹介する.
ほんとうに安全? 現代の暗号
 今日のネット社会は暗号なしには成り立たない.開発のエピソードをまじえながら,現在主流となっている公開鍵暗号を解説する.素因数分解など簡単な数学を手がかりに,暗号のしくみを実感する知的刺激に満ちた入門書.さらに暗号解読の最新の研究を紹介し,暗号はどこまで安全か,量子コンピュータが実現したら暗号はどうなるのかを展望する.
賢くはたらく超分子
ゆるやかに結びつき,奇妙な形をして,普通の分子にはない機能をもつ超分子.そのしなやかな振る舞いは驚くべき効果を生む.ワサビの鮮度を保つ,匂いの強さを測るなどの身近なはたらきから,生物の中にあるナノマシンとその利用,カーボンナノチューブを使った宇宙エレベーターなど,超分子の可能性をたっぷり紹介する.
 
〈心の科学〉を読む
 哲学,心理学,言語学,情報科学,神経科学など,さまざまな分野が交差し,ダイナミックに発展してきた〈心の科学〉.新しい領域を切り拓いた記念碑的な本や,斬新なアイデアで衝撃を与えてくれる本,少し見方を変えると意外なところで〈心の科学〉とつながる本など,10人の多彩な執筆者がそれぞれのとっておきの本を語る.
社会を変える会計と投資
 CO2排出も社員の福利厚生にも配慮,そんなことは当たり前.しかしそれにはどうしてもお金がかかる.他社だって生き残りに精一杯だし,何より儲けあっての株主様だ,と言っていた時代はもう過去のものになるかも.通常の収支会計報告をちょっと変えるだけで,世間の目線と関心は新たな方向へ.近未来の企業のあり方を描く.
進化する自動車
 日々洗練され,高度化する先進技術.瞠目すべき革新的アイディア.安全性,快適性,低環境負荷の追究とともに進む精緻な自律システム化が,クルマに新たな可能性をもたらしつつある.クルマはいま,大きく変わろうとしている! 世界のカーエレクトロニクス分野をリードしてきた技術者が,進化の方向を予見し,未来を展望する.
個体発生は進化をくりかえすのか
 発生途中のウミガメの卵をあけたら,中から出てきたのはニワトリの胚だった!? 衝撃的な体験をもとに,「生物は胎内や卵の中で,魚類から両生類,両生類から爬虫類へと,進化の歴史をたどりながら成長する」という反復説の是非を問う.反復説に影響を与えた宗教的な背景から遺伝子レベルの研究まで,話題満載の1冊.
日本の動物はいつどこからきたのか
 島国である日本の動物たちは,さまざまな地理的制約や気候変動の影響を受けながら,多様に進化してきた.沖縄のヘビ,カエルはなぜ種類が多いのか.海浜にいるハンミョウたちはどうすみ分けているのか.オオカミはなぜ絶滅したのか.日本に特有の動物が分布してきた過程を追い,地域ごとの多様性を生み出した謎を解き明かす.
Y染色体からみた日本人
 男性がもつY染色体は遺伝子が少なくて変異が多く,厄介者扱いされてきた.しかし塩基配列の解読から男性の世界的な系統図が作成され,ヒトの進化をさぐる新しい道が開けてきた.日本人はどのように成立したのか,縄文人と弥生人はどこが違うのか,Y染色体が語るさまざまなエピソードを第一人者が紹介する.
ウイルスと人間
 人間の生活パターンの変化に伴い,SARS,鳥インフルエンザなど新種のウイルスが脅威になってきている.ウイルスとはどのようなものか,進化の過程で,人とウイルスはどのように関わり,戦ってきたのか.ニパウイルス,サル痘など今感染のおそれがあるエマージングウイルスの脅威と,それにいかに対処し共存していくのか,第一人者が語る.
予想脳
 これほど盛んに研究されながら,脳科学は進むべき方向を見失っている.脳のさまざまな側面について蓄積された詳細かつ膨大な知見を統合する大きな枠組みが存在しないからだ.本書はその枠組みとして「予想脳」という概念仮説を導入し,多数の脳が相互に影響を及ぼしあっているという事実をもとに,脳の本質的な理解に迫る.
皮膚は考える
 皮膚は身体を包むだけの単なる包装紙ではない.からだ全身を被い,重さは約3キロにもなる最大の「臓器」である.かつ,皮膚は環境に応じて,その状態を変化させ,必要な情報を体内に伝える.著者らは,脳神経系で働く物質と同じものが皮膚に存在することを発見した.鍼灸医療の本質ともからむ皮膚科学の最新研究を紹介する.
〈数学〉を読む
 自然科学の基礎を担い,物理学や工学,経済学など多岐にわたる分野と呼応しながら発展してきた〈数学〉.この永い歴史をもつ学問とさまざまな関わり方をもつ多彩な10人の執筆者たちが,とっておきの本をめぐる話を通じて奥深く,そして豊壌な〈数学〉の世界を紹介する.〈数学〉の素顔を垣間見ることができる1冊.
新鉱物発見物語
 「新鉱物」発見という世界初への挑戦には,それを支えるさまざまな人や石との出会いがあり,また失敗談やフィールドでのハプニングなどのさまざまなドラマがある.長年に渡って実際にフィールドを歩いて調査してきた著者が,発見にまつわる物語や三宅島噴火などを紹介して石から見た自然観を語る.
ゲノム進化の読解法
 ただの雑草がなぜ突然トウモロコシになったのか.ショウジョウバエはたった1回の変異で殺虫剤耐性を獲得し世界を制覇した.エイズウイルスはいつサルから人へ感染したのか.たんなるATGCの塩基の並びが,驚くべき生命の秘密を語り出す.ゲノムに刻み込まれた生命の歴史とドラマを読み解く1冊.
よみがえる天才アルキメデス
 数多い奇書のなかでアルキメデスによる『方法』は特別だ.祈祷書が上書きされていた写本が偶然発見されたのち行方不明.世紀末のオークションに突然出品されるや200万ドルで落札.その運命もさることながら,その驚くべき内容は数学史を書き替えた.今回初めて解読された部分も含め,近代数学に千年以上先じた天才の思考を読む.
宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ
 ニュースや新聞において死亡率や薬の効果がよく取り上げられますが,そこに出てくる「数字」がどのような意味を持っているのか,どうやって計算されて出されたものか知っていますか? それを教えてくれるのが「医療統計」なのです.さあ,宇宙怪人しまりすと一緒に勉強してみよう!
アクセントの法則
 どんな言語や方言にも,それぞれに美しい規則の体系がそなわっている.私たちは幼いとき,造作もなくその体系を身につけ,大人になった今は,無意識にそれを操ってことばを話しているのだ.標準語や鹿児島弁のアクセントを例に,一見混沌とした言語現象に潜む法則を見つけだし,自分の頭の中で起こっていることを探ってみよう.
日曜ピアジェ 赤ちゃん学のすすめ
 日曜日.それは,愛しのわが子と思う存分ふれあえる,貴重な,貴重な1日.その至福のひとときを,赤ちゃん学の楽しい実験をして過ごしませんか? 手順は全部,イラストで図解.だれでも安全・簡単にできます.たくさんの驚き,発見,感動に出会える本です.
金属なしでは生きられない
 われわれは毎日金属を食べて生きている.金属がおいしいからではない.動物は植物と違い酸素を積極的に利用し動きまわる自由を獲得したがゆえに有害な活性酸素を体内に抱え込んだ.これをいかに抑え込むか.じつはある金属の摂取が決定的な役割をはたすという.どんな金属がどのようなしくみで役に立つのかを明らかにする.
クマムシ?!
 乾燥すると樽型に変身.真空,高温,高圧,放射線にも耐え,レンジでチンしても平気──.不死身伝説に満ちた身近な微小生物,クマムシ.その真相やいかに? 研究の歴史や,試行錯誤で飼育する笑いと苦労の物語など,生物研究のオモシロさ満載! 観察方法,ファン必見の超レア物図版も多数掲載! 日本初のクマムシ本,ついに誕生.
新薬スタチンの発見
 青カビからつくられた奇跡の薬,第二のペニシリンとも呼ばれるスタチン.動脈硬化や心臓病の特効薬として毎日世界中で三千万人以上の人が服用する.いまや薬剤の年間売上ベストテンの上位をスタチン関連が占める.発見したものの再三開発中止に追い込まれ,土壇場でついに認められるという波乱の道のりを発見者自らが語る.
地球・環境・人間
 食糧不足,絶滅の危機,地球温暖化…….これらの言葉は今や日常化し,深刻さの度合いは深まる一方なのに,私たちの想像力は萎縮している.世界中のあちこちで集計され発表される統計データは何を語るのか.無機質に見える数値の裏側に見え隠れする地球の鼓動の聴き方を長年追跡した著者が解説する.
免疫をもつコンピュータ
 生物のもつ免疫は,さまざまな抗体によって未知の病原体にもあるていど対応し,さらには一度感染した病原体には二度と感染しないという優れた防御システムである.これをコンピュータウイルス対策に応用できないだろうか.相次ぐ情報流出などで日々世間を騒がせるウイルスに先手を打つ画期的セキュリティシステムを提案する.
相対論がプラチナを触媒にする
 プラチナ,またの名は白金.この指環やネックレスに使われてきた貴金属が,いま地球環境を救う物質として世界から熱い注目を浴びている.触媒として素晴らしい力を発揮するからである.なぜプラチナにはこのような魔法の力があるのか.その秘密の鍵は相対性理論が握っていた! すぐには信じられない,科学の最前線の物語.
オイラー,リーマン,ラマヌジャン 〜時空を超えた数学者の接点
 現代数学でもっとも重要と思われているもののひとつにゼータ関数があります.これは2,3,5,…,という1と自身以外には約数をもたない素数というもののふしぎな性質についていろいろなことを教えてくれる関数です.それらを研究した3人の数学者に焦点をあてて,まるで生き物のようなゼータについてやさしく語ります.

異色と意外の科学者列伝
 僧職にある人が天文学者,粉屋の主人が数学者,ガラス職人がドイツ精密機械工業の生みの親,膨張宇宙論を唱えたのは気象学者,英国科学者はニュージーランド人…….歴史に名を残す科学者の伝記をひもとき,異色の人物や意外な人間ドラマを紹介する.職業としての科学者がどのようにして誕生したのかが見えてくる.

後悔しない意思決定
 後悔先に立たず,とはよく言ったもの.思えば人生,「あのとき,こうしていれば…」と悔やむことが少なくない.では,どうすればより良く,悔いなく生きることができるのか.本書では,心理学,統計学の知見をもとに,その秘訣をさぐる.人生を不断の「決定のプロセス」と見て,岐路に立つ人へ決断の要諦を示す.
海の波を見る
 「私のそばにはいつも,海があり,波があった.」太平洋,大西洋,東シナ海,….波の研究者として世界の海を駆けめぐってきた著者が,数々の航海のさなか撮影した波の写真を紹介する.その姿は,まさに変幻自在.見る者は息をのみ,時間を忘れるだろう.海と風とが織りなす魅惑の自然像を,オールカラーで楽しむ一冊である.
科学の社会化シンドローム
 ES細胞ねつ造が,韓国の社会をゆるがした.国内でも国立大学や一流研究所における論文ねつ造・データ改ざんの疑惑,研究費の不正運用が,世間を騒がせ科学システムを脅かす.社会からの要請を前に,病的症状を現しているかに見える科学は,今後どのようにあるべきか.研究の第一線にあった著者が,問題の根源から考察する.
こんどこそ! わかる数学
 小学校・中学校時代には,算数・数学に興味関心を持つどころか大嫌いだったという著者.それだからこそ,大学は法学部に進んだのに,なぜか予想に反して数学者になってしまう.そんな著者が自身の悲惨な経験を踏まえ「もし中学生に教える機会があれば,こんな教え方をしてみたい」と思い立って書いたのがこの本だ.数学イメージが変わる.
ブックガイド  文庫で読む科学
 いまなお私たちに深い感銘と示唆を与え続けてくれる古典的研究,何度読んでも味わい深い珠玉の読み物など,コンパクトに凝縮された先人の知恵の楽しみ方をさまざまな分野の読み手が紹介します.時代を超えて流れる科学の精神に,手軽にそして深く親しむための道案内.