テトリガンス

 むかし、小倉(こくら)のある漁師さんが彦島の沖にで魚をとっていました。ちょうど西山の沖にさしかかったとき、岸辺の洞窟(どうくつ)に何か大きなものがぶら下がっているのが見えました。

 不思議に思って船を近づけてみますと、それは自然にできた釣り鐘(つりがね)でした。漁師はこれがあまりにりっぱなので、はずして家へ持って帰ろうとしました。ところが、家に帰ろうとして船をこぎ始めてしばらくすると、とつぜん漁師さんはお腹が痛くなってしまいました。やがて、さっきまでは良いお天気だったのに、あたりはとつぜん暗くなって、雨や風が強くなりました。漁師さんの小さな船は、大きな波に今にものみこまれてしまいそうです。

 漁師さんは、てっきり釣り鐘(つりがね)をちぎってしまったたたりだと思い、いそいで、その釣り鐘(つりがね)を海にほうりこみました。そうすると、死んでしまうのではないかと思うほど痛かったお腹もなんともなくなり、天気ももとのようによくなりました。釣り鐘(つりがね)のことを、「カンス」というふうに呼んでいましたので、それ以来、この洞窟(どうくつ)のことをテトリガンスと呼ぶようになりました。

 この洞窟(どうくつ)をきずつけたとたんに、海が荒れてしまったとので、地元(じもと)の漁師さん達は、この洞窟(どうくつ)を彦島の海の守り神と考えるようになり、お供え(おそなえ)をして大切に守り続けたそうです。

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