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 投稿番号:102863 投稿日:2006年02月25日 00時02分17秒  パスワード
 お名前:nyao URL=http://www2u.biglobe.ne.jp/~vanquish
今月の読書・2006年2月
キーワード:読書 加藤寛一郎 堺屋太一
コメントの種類 :雑談  パスワード

前回投稿よりちょっと間隔を空けてしまいましたが、
寸暇を惜しんで読書は欠かさず。

『管制官の決断』加藤寛一郎、講談社、1996年(文庫本)
*原著『ニアミス』は1992年
現代の航空管制がいかに際どいバランスの上に成り立っているか、
日本における航空工学の大家が体当たりの取材と豊富な資料を駆使しつつ、
初心者にもわかりやすい解説を試みた1冊。
実際の事故における交信記録は下手なホラー映画より身の毛がよだち、
そして「衝突する飛行機は見えない」などと衝撃的な台詞が飛び交い、
内容が判りやすいだけに恐怖感も際立っています。
しかし単に航空管制の難しさを説明するだけでなく将来への展望も。
「人間を『最後の砦』としつつルーティンワークは自動化へ」とか、
ボイジャー2号の「進化」やF−15戦闘機の操縦系統の強靭さを例にとり、
飛行機の設計には冗長性の確保が不可欠と主張してます。

『新版 団塊の世代』堺屋太一、文藝春秋、2005年(文庫本)
*原著『団塊の世代』はハードカバー1979年、文庫版1980年
40代後半以上なら読まれた方も多いと思われるこの本、
新版といっても巻頭に2005年版の序言が付いただけ。
この本を読む前に様々な人口データを調べたのですが、
私が生まれた当時はヨーロッパで少子化の懸念が叫ばれていましたが、
既に日本においても合計特殊出生率は下落傾向が本格化し始めており、
人口維持に必要な2.07〜2.1の水準を下回り始めていました。
(合計特殊出生率は1950年3.65、1975年1.91、2000年1.36)
世代間で著しく激変した出生率がもたらす経済的な問題は、
統計データを注意深く観察すればある程度予見できたわけです。
しかし楽観的な見通しを前提とした施策が続いた挙句、
かつてのニュータウンは今や高齢者中心のオールドタウンとなり、
また年金負担等を巡る世代間対立も現実となりつつあり、
30年前の堺屋氏の予測は程度の差こそあれ的中してしまいました。
私が仲間とともに交通論研究をやったときも堺屋氏と似たような手法で、
現在の年齢別人口や出生率を元に将来の人口動態を予測して、
世帯所得や交通体系に与える影響をシミュレートしたものですが、
シミュレートすればするほど慄然とせざるを得ませんでした。
先達である堺屋氏に敬意を表するとともに襟を正した1冊。

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