【 彦島で熱く語る!!一覧に戻る | 使い方とお願い | 日子の島TOP
 投稿番号:102847 投稿日:2006年01月04日 21時24分00秒  パスワード
 お名前:nyao URL=http://www2u.biglobe.ne.jp/~vanquish
今月の読書・2006年1月
キーワード:歴史 文学 読書
コメントの種類 :雑談  パスワード

昨年はいささかペースダウンしてしまった読書コーナーですが、
新年を機に何冊か本を買い込んでネタを仕込んでおきました。
私の読書傾向は主に海戦史などの歴史やノンフィクション文学、
それと自転車ネタが多いことをあらかじめお断りしておきます。
では2006年の読書初めと参りましょう!

[1]nyaoさんからのコメント(2006年01月05日 00時50分15秒 ) パスワード
URL=http://www2u.biglobe.ne.jp/~vanquish

まずは世間の戦艦「大和」ブームに真っ向から歯向かう2冊。

『護衛空母入門』大内建二、光人社、2005年(文庫本)
大西洋と北極海では独軍のUボートや爆撃機による通商破壊作戦を打ち砕き、
太平洋でもガタルカナル攻防戦以後日本の陸海軍部隊に大打撃を与え、
第二次大戦における米英両海軍の「縁の下の力持ち」だった存在。
それは商船をベースとしたインスタントの「護衛空母」でした。
本書は米英両海軍における護衛空母開発に至る経緯からはじまって、
実際の運用方法や具体的な作戦事例や果ては戦後の再利用に至るまで、
日本における類似の「特設空母」と比較しながら、
文庫本の量的限度が許す限り詳細に記しています。
米英両海軍で使われた標準的な護衛空母(カサブランカ/アタッカー級)は、
満載排水量15400トン・飛行甲板全長142m・最高速力18ノット、
同時代の他の軍艦と比べて鈍足で防御も皆無同然でしたが、
日本の空母になかった「打出の小槌」カタパルトを標準装備。
カタパルトを持つ護衛空母がどれほど日独海軍を苦しめたかは、
この本と次に紹介する本とを併せてご覧いただければ判ります。

『第二次大戦海戦事典』福田誠・編著、光栄、1998年
「信長の野望」「提督の決断」シリーズで有名なゲーム制作会社「光栄」が、
シリーズで出版している第二次大戦解説本のひとつ。
単純に第二次大戦のみを取り上げているのではなく、
前段としての第一次大戦における主要海戦や海軍軍縮にも触れ、
事件や人物の裏話などコラムも充実しています。
また参考文献もモリソン博士やプランゲ博士の定評ある著作や、
その他公刊戦史またはそれに準じる書籍が例示されており、
どこぞの歴史教科書と比べて遥かにまともな内容になっています。
先に『護衛空母入門』でちょっと触れたカサブランカ級の、
意外な実力も具体的なデータ付きで紹介されています。
しかし本書で最も輝きを放つのは戦艦「大和」が沈んだ海戦のコラム、
「最後の栄光の代償」における海上特攻作戦批判です。
このコラムと上記の本と学研M文庫の『海上護衛戦』を読むと、
「大和」ブームを手放しに喜んではいけないことがわかるはずです。
[2]暇潰しのギャンブラーさんからのコメント(2006年01月05日 07時41分32秒 ) パスワード

>ゲーム制作会社「光栄」

友人が「大和」の話をしてて「光栄」という単語が出てましたが
勿論わたしにはサッパリ分からない。

(ここで分かったなんてね)
[3]nyaoさんからのコメント(2006年01月25日 23時51分03秒 ) パスワード
URL=http://www2u.biglobe.ne.jp/~vanquish

駐輪場取材の合間に本屋さんで面白い本を見つけましたので、
その中からこれまた旧海軍の在り方を鋭く批判した名作をば。

『美保関のかなたへ』五十嵐邁、角川書店、2005年
*原著『黒き日本海に消ゆ−海軍・美保関遭難事件』は講談社より1978年刊行
昭和2年(1927年)8月24日深夜に行われた海軍の無灯火夜間演習。
「錬度の違う部隊を組み合わせての無灯火夜間演習は危険」と、
反対意見が出ていたものの連合艦隊司令長官が強行したその訓練で、
日本海軍始まって以来の重大事故が発生してしまった。
巡洋艦『神通』が「敵方」のサーチライトを浴びて乗組員の目がくらみ、
そこへ無灯火で航行してきた第27駆逐隊の4隻が接近、
『神通』は28ノットで進む駆逐艦『蕨』の横腹に28ノットで衝突、
『蕨』は衝突からたった26秒で轟沈してしまったのだ。
しかもその後方では同じく巡洋艦『那珂』が同様に駆逐艦『葦』の艦尾に衝突、
『葦』は幸い沈まなかったものの乗組員のうち27名が行方不明に…。
島根県美保関の沖で発生したことから「美保関事件」と呼ばれたこの事件は、
旧海軍が詳細を明らかにせず終戦後も真相が解明されていませんでしたが、
1978年に原著が出版されたこの作品によってほぼ全貌が解明され、
NHKのドキュメンタリー番組の参考文献としても取り上げられています。
著者はなんと沈没した『蕨』艦長・五十嵐恵少佐の長男。(!)
経歴を見ると「大成建設取締役」「信越化学工業取締役」を歴任する一方、
「日本鱗翅学会理事」「日本蝶類学会名誉会長」など昆虫学にも精通、
まさしく多芸の人と言っても過言ではないでしょう。
そのような理系肌の著者だけに自らの経験を交えた細部描写は臨場感があり、
一方で事後の査問会や軍法会議の顛末を語る局面では、
父を失ったことへの感情を極力抑えた筆致で丹念に関係者の心情を描写。
私のような旧海軍研究者にとって必読書のひとつですが、
そうでない方も松江や境港方面に行かれる際はぜひご一読を。
[4]暇潰しのギャンブラーさんからのコメント(2006年01月26日 01時19分59秒 ) パスワード

>旧海軍が詳細を明らかにせず終戦後も真相が解明されていませんでしたが、

緘口令ですね。
バラしたら反逆罪だったでしょう。

日本も結構ドジやってるんですよね。
秘密にしてるから日本人は知らないだけで。
 【 彦島で熱く語る!!一覧に戻る
この投稿に対する
コメント
注意  HTMLタグは使えませんが、改行は反映されます。
 http://xxx.xxx/xxx/xxx や xxx@xxx.xxx のように記述すると自動的にリンクがはられます。
お名前 (省略不可)
削除用パスワード (省略不可8文字以内)
メールアドレス (省略不可)
URL
 ホームページをお持ちの方のみURLを記入して下さい
◇Copyright(C) 2000 c-radio.net. All Rights Reserved.◇  DB-BBS-system V1.25 Rapha.