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2021年で800周年 承久の乱、なぜブーム?
『承久の乱』(坂井孝一 著)――ベストセラー解剖
「承久の乱」を扱った新書が売行き好調だ。朝廷と協調路線をとる鎌倉幕府将軍・源実朝が暗殺され、公武関係が動揺し、後鳥羽院が引き起こしたこの乱を、院や実朝の優れた歌人としての一面など、文化事象にも光を当て活写している。
「幕府と朝廷は敵対していたかのように語られがちですが、少なくとも両トップのあいだでは和歌を通じた心の交流もあり、話はもう少し複雑です。後鳥羽院は『新古今和歌集』の撰者でもあるわけですし、政治の動き以外にも目を向けることで、単純な図式に収まらない本になると思いました。著者は軍記物の『曽我物語』がご専門で、歴史学者の中でも文化全般にお詳しく、その強みが上手く発揮されたと感じています」(担当編集者の並木光晴さん)
承久の乱をテーマにした一般書は本書の刊行時には意外と少なく、それもヒットの一因だったという。ところが、『承久の乱 日本史のターニングポイント』(文春新書)を筆頭に、その後、関連書が相次ぎ、まだまだ同様の動きがある。
「学術的な本は勢いで出せるものではありませんから、重なったのは偶然でしょう。本書の動きを見て、予定が少し早まった……くらいはあるかもしれませんが(笑)。ともあれ、承久の乱が800周年を迎える2021年を前に、ちょっとしたブームが来ているのは、おもしろいですね」(並木さん)
2018年12月発売。初版2万部。現在3刷5万5000部
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