コメントの種類 :書籍・文献
パスワード
読売新聞の新刊紹介から:
悪口とは社会を維持する潤滑油?
悪口とは陰口や中傷とは違うんですって。
悪口に不可欠なのは含蓄と婉曲ですって。
面白そうですよ:
『〈悪口〉という文化』
山本幸司
出版社:平凡社
発行:2006年11月
ISBN:9784582427158
価格:¥2520 (本体¥2400+税)
社会を維持する潤滑油
著者は悪口を「文化」として再考する。時として言葉の暴力となりうるが、一方で日常的なフラストレーションを解消して「物理的な暴力を抑制」し「社会を安定させる」機能を担っていると分析するのである。わかりやすいのは、茨城県笠間市の飯綱神社など全国各地で今も続けられる「悪態祭り」。みんなで悪口を言い合って福を呼ぶのだ。戦国の世の武士たちも合戦の前に悪口の応酬をしていたらしい。敵方の前歴などを卑しめて戦意を喪失させる。日頃から剣術とともに悪口の習練も積んでいたというのである。鎌倉幕府は『御成敗式目』で悪口を罪として禁じていた。問注(裁判)記録によると、悪口は相手の地位や親不孝などをおちょくるもので、「大した悪口ではない」と訴えが却下されたり、悪口ではなく本当のことだと判明したり。江戸時代には「悪口を言われてもよい」ということが借金の担保にもなっていたそうで、経済的価値も生んでいたらしい。
評・高橋秀実(ノンフィクション作家)
|