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読売新聞下関版 4月18日より
平家伝説を裏付ける弓矢?
「壇ノ浦」で武将使用か
湯谷→長門に残る
平家落人伝説がある油谷町向津具地区で「壇ノ浦の合戦に敗れた平家の武将が所持していた」として代々受け継がれてきた弓と矢を、長門市中山の家電販売業、清永矩敬さん(71)が所有している。県埋蔵文化財センターの中村徹也所長によると、平家落人伝説は全国各地に残っているが、「弓矢がセットになって、いわば物証として残っているケースは少なく」、新たなロマンをかきたてている。
弓は全長約173センチ、最大幅3センチ、最大厚み2センチ。半分に折れ、両端も破損しているが、木を軸に表裏に竹を重ねた「三枚打ち」と呼ばれる平安時代独特の重厚な造りで、桜の皮や漆塗りの装飾を施している。籐のツルを一定間隔に巻き付けた痕跡があった。矢は竹製で、鉄の矢じりは先端が二またになっている。
籐のツルを巻き付けたものは「重籐(しげどう)の弓」と呼ばれ、武将級の人物が所持していたとされる。徳島県三加茂町で平家の落人伝説を研究している森本徳さん(71)は「大きく威力があり、馬上や軍船から射る時に用いたと考えられる。弓矢の形態から壇ノ浦合戦で使った平家武将のものと考えてもいいのでは」と話している。
清永さん方はもともと向津具地区で江戸期以前から続く旧家だった。同地区は、平氏一門の武将のものとされる墓や、一門の名前を付けたいくつかの集落が現存し、弓矢について清永さんは先祖から「壇ノ浦の合戦で敗れた平家の武将が落ちのびたときに所持していた」との言い伝えを受け、家宝として保存してきた。
地元郷土史愛好家の一人、藤永光次さん(78)は「この弓矢が落人伝説を裏付ける初めての物証と確信している。夢が広がりました」と声を弾ませている。
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